精神科医になって四十年が過ぎました。十四歳で医師を志し、二十歳で精神科医になることを決意しました。名古屋掖済会病院で一年間の初期ローテ―ト研修、名古屋大学病院医員として精神科研修を、愛知県立城山病院で十余年単科精神病院勤務を経て、名大病院精神科、名古屋工業大学保健センターで精神科医療・精神保健相談に従事して来ました。公務員生活三十七年後に診療所勤務医二年を経て、突然クリニックを承継しました。
人は何処からきて何処へ行くのか。人類の誕生と未来にいつも興味を持っていました。自己と他者は、細胞や免疫レベルでも識別されますが、自己を意識している数少ない地球上の生命体である人の精神には格別の興味を抱いています。
単なる臨床医に過ぎませんが、「私は脳のどこにあるのか」=「アイデンティティと脳科学」に関心を持ってきました。人の脳波や睡眠の生理や病理について少し関与したこともあり、睡眠精神医学 sleep psychiatryがテーマとなっています。それは、しかし、仏蘭西のピエロンや米国のクレイトマンの大志と実践の片鱗に触れる程度の些末な試みでしょうか。
日常臨床では、患者さんから教えられることばかりです。不眠、不安、無気力、抑うつ、幻覚、妄想、記銘力低下などの精神症状でお困りの方々だけではなく、睡眠不足症候群などの過眠症、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害、睡眠相後退障害などの睡眠障害、意識減損発作、けいれんなどてんかん性障害でお悩みの方々が、日々外来に来られます。
脳波検査、反復睡眠潜時検査を熟練の検査技師によって、また在宅睡眠呼吸障害検査を2晩連続で行って頂き、精度の高い電気生理学的検査を行っております。初診も再来も完全予約制のクリニックですが、なるべく早く診断精査が出来るように努力しています。
医師・患者関係を「相性」を理由に中断する方が時々おられます。医療では相性は有害無益と考えています。事実、無愛想だけれども診断・治療に優れた精神科医の同僚もおります。むしろ愛想は医療技術不足を補完する危険性すらあると思っています。従いまして転医を希望されても、それまで治療経過を検討して、転医をお勧めしないこともあります。また、既に受療歴のある方は、主治医の紹介状がないと当院で治療を開始することは出来ません。あらかじめご了承ください。
なお、精神科や睡眠科で治療中の方のためのセカンドオピニオンも行っております。日本睡眠学会での全国ネットワーク、身体疾患を併発しておられる場合の病診・診診連携、精神科疾患でもより専門性の高い場合の病診・診診連携なども行っております。身体の健康と心の健康は密接不可分の関係にありますので、知っている限りの名医を紹介するように務めております。
どうぞ、お気軽に当クリニックをご利用ください。
2016.5.1 粥川 裕平